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Hi, there. Glasgow

Study in Scotland

クレイジー・キャンピング 〜第三夜 & 編集後記〜

 

 

Previous 'Crazy Camping' 

 ついにスカイ島にたどり着いたリック、いやジュリアン御一行。午前4時まで大自然を”満喫”し、疲労の限界を迎えた一行を、情け容赦のない雹(ひょう)が襲った!

 

あれ・・・?

 

 「どうでもいいんだけど、どうしてこの雹の動画、車の中から撮られてるわけ?全員テントで爆睡してたはずでは・・・?」(by ペドロ)

 

 翌朝、起きだした一同はガスコンロを囲み、数時間かけて探し出した最高のやかんでコーヒーを淹れ始めていた。それはだな・・・、とジュリアンがニヤニヤしながら私を指差す。

 

 「このなかに、車のなかに逃げ込んで一夜を明かしたチキン野郎がいるからだ!リック、お前車のなかでヒーターまで使ってたろ!!

 

 ・・・あれ?バレてました? 実は昨夜(正確には朝方)、寝袋に重大な欠陥を発見した私は、このまま眠りに落ちると凍死すると思い、テントよりも密閉度の高い車中で、エマージェンシーシート(ペラペラの保温カバー)を寝袋の上から巻きつけ、一夜を過ごしたのだった。ついでに、寝る前と起きたときに車のヒーターを最大出力で使用し、ひとり快適な一夜を過ごしたのだった。いや、そんなに快適ではなかったが、暴風雨と雹と氷点下の気温にさらされたテントよりはマシだったと思う。しかし、寝静まってからエンジンをかけたのに、ばれていたか・・・ま、いいや。

 

 

 「信じられん・・・。そんなのアリか・・・。」(by ペドロ)

 「ナシに決まってるだろう。こんな奴はリアル・ネイチャーマンの称号を得るに値しない!」(by ジュリアン)

 

 

 リアル・ネイチャーマンってなんだよ。いらないよその称号。しかし、よほど全員参ったのか、さすがにもう一泊テントをすると、凍死はしないまでも帰りに事故るのではないか、ということになり、急遽ハイランドの玄関口の街、フォートウイリアム(Fort Wiliam)まで撤収することになった。かつ、その日はユースホステルを使うことに。

 

 数日ぶりに街で飲むビールはうまかった。楽しみにしていたスカイ島観光、アザラシを探したり、愛してやまないタリスカー蒸留所、ハイキングetc etc、は全て中止になった。「まあ、そんなの次回、電車かバスで行けばいいじゃん?」とあの男がさらりと言ったときの、私の表情は・・・お察しいただきたい。

 

 こうして、わたしたちのリアル・ネイチャーマンになるための旅路は終わった。正確には、その後も予定が遅延したり、わたしはそのまま統計の授業に突入したり、突然IKEAグラスゴーに寄りたいと言い出す男がいたりと、ネタは尽きなかったのだが、まあともかく、クレイジー・キャンピングは無事に終わったのでありました。

 

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Photo by Rick (All Copy Rights Reserved) Crazy Tents

 編集後記に代えて

 

  「ていうか、ジュリアンがクレイジーなんじゃないの?」

 

 私の話を聞きおえた妻のコメントだが、まあ、あえて否定はしない。というか、積極的に肯定したい。終わってしまえば悪い夢のようでもあるが、貴重な時間だったことは間違いないと思う。

 

 一つは英語。

 家族で来ていることもあり、独りで過ごしていた夏の語学学校はともかく、やはり秋以降は家に帰ると日本語を話してしまうし、大学でも日本人の友人に会えば日本語なので、ここまで強制的に英語しか話せない環境は久しぶりだった。ロンドンなどよりはマシだと思うが、留学していても、ネットも含めて、日本語に触れる機会というのは案外多くて、英語漬けの環境を実現するのは実は難しい。この点、携帯も使えず、他の人間にほぼ会わず、で過ごした4日間は濃厚だった。あと、それぞれにアクセントや癖があるのだが、だんだん遠慮がなくなってきて、「リックはもっとLとRの発音をしっかり区別してくれ」とか、「おまえそれ訛りすぎ。スペイン語か?」とか、「その語順、ドイツ語じゃない?」みたいなやりとりが続き、英語は上達したような気がする。

 

 やっぱり、普段、授業や道端で会うだけだと、多少英語が下手でも、お互い目をつむってしまうことが多く、結果として指摘してもらう機会も減るので、今回、私に限っていうと、

 ・LとRの発音

 ・Maybeがやたら多い(自信ないのか!)

 ・Sorryはもっと多い(謝りすぎだぞニッポン人!)

 ・冠詞(a と the)の使い方が雑

とか、自分では気づいていない癖をたくさん指摘してもらって、よかったと思う。あと、リスニングも、いろんな訛りに触れて、対応力が上がったかな。

 

 そして、いま一つは、自省の機会。

 文明から隔絶されて、本当に雄大な自然と、あと暗闇しか見えないなかで、何時間も車に乗っていると、色々不思議な気持ちになった。仕事をしていたときほどではないにせよ、将来のこと、これまでのこと、家族のこと、友達のこと、留学のことなど、気持ちが慌ただしくてなかなかまとまって考える時間がなかった。が、車中から流れる景色を眺め、太陽が傾き、月がでてくるのを見ていると、色々な思いが去来した。まとめてしまえば、友達にせよ、家族にせよ、自分がしてきた決断にせよ、「自分は恵まれとるな」と思えたことがよかった

 

 最後に、バカバカしさ。

 歳を取って・・・というほどでもないけど、20代後半になって、30代に入って、やっぱり段々無茶なことやバカなことをする機会は減ってくる。心理的なブレーキもかかりやすくなってくる。まあ、国家公務員という安定した仕事を捨てて留学している時点で相当大人気ないものの、それでもやっぱりこういう機会は貴重だ。二度やりたいかと言われると、次はもうちょっとまともな旅がいいが、国籍を超えた3人組でロードジャーニー(by ペドロ)ができたのは、本当に楽しい経験だった。正直、ここまでバカバカしいと、一生忘れないだろうな。

 

 もし、これから留学する人、留学してる人がこれを読んでいたら、ぜひ、バカバカしいことほどやってみてほしいなと、思います。(法に触れてはいけませんよ。)

 

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Photo by Rick (All Copy Rights Reserved): Road on Skye

 

セカンド・シーズン?

 ここで、気持ち良く「第三夜」を書き終えようと思ったのだが、キャンプから帰ってきた翌朝(いつも「翌朝」に何か起きるな・・・)、担当教官のR先生からメールが来ていた。

 

 12月のプレゼンテーションのチームを決めました。リックのチームは下記のとおりです。

 ・P(ドイツ人)

 ・リック

 ・ジュリアン

 

 「いやあ、また一緒だなあ!クレイジーなプレゼンテーションにしような!」。嬉しそうな人が、ひとり。

 

 ・・・来月のこの時間は、セカンド・シーズンをお送りしているかもしれません。

 

 

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Photo by Rick (All Copy Rights Reserved): Honoured Grass of Crazy Camping