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Hi, there. Glasgow

Go! Study Scotland!

UBERドライバーに学ぶ社会学@グラスゴー

グラスゴー スコットランド 留学生活

こんにちは。

リックです。セメスター2が始まりました。大学院留学後半戦は、より専門的になった内容のクラスになり、マニアックな内容に不安を感じつつも、一方でワクワクしています。

 

始まったばかりで動きもないので、今日は別の話。今話題のUBER・・・の運転手さんの話を書きたいと思います。

 

市井(しせい)の声

 

グラスゴーにいて、ちょっと出かけるとき、特に家族で出かけるときに絶大な威力を発揮するのがUBERだ。お値段は正価の5〜7割くらい。携帯のアプリで呼び出した場所に来てくれて、事前に見積もりも出してくれる。例えば、うちから空港までバスで行くと、シティセンターまででたりなんだりで1時間くらいかかってお値段15ポンドくらいだが、UBERを利用するとドア・ツー・ドアで20分くらいで、お値段20ポンドくらい。子育て世帯には重宝します(※ロンドンでは同価格帯が「乗り合い」だったので、割高になるようでした。)。

・・・まあ、UBER自体は雇用(厳密には個人事業主扱いのようだが)に問題がある等々、いろいろ指摘されているようなので、サービスについては、イチ利用者として便利だという感想を述べるにとどめたい。

 

私の感覚的な話だが、正規の組合に所属しているタクシー、いわゆるキャブ(イギリス伝統の丸っこいかわいいタクシー)の運ちゃんは白人系が多いのに対して、UBERドライバーは軒並み移民や、低所得層の白人が多い。

 

そして・・・どうも私は運ちゃんに話しかけられる率が高い

実は、日本でもそうだった。日本ではUBERでなく、普通のタクシーの運ちゃんだが、どうも話しやすいのかなんなのか、いろいろな話を聞かせてもらったり、教えてもらったりした。

 

少し話が逸れるが、私はいわゆる官僚の一員だった頃、世の中の実感を聞くならタクシーの運転手さんだと思っていた。日本のような先進国でも、いや先進国だからこそかもしれないが、運転手さんたちの勤務環境は過酷だ。ときに3日間寝ていない方もいたし、お客さんに暴力を振るわれたり、歩合を理由に給料を大幅にカットされる方もいた。変なおっさんもいたが、私にいろいろ教えてくれたおじさんたちは、おしなべて真面目で、東京の地図がカーナビより詳しく頭に入っている、ベテランドライバーたちだった。

 

「ここはねえ、交通安全強化月間になると、停止線を5cm超えただけで警察が止めるんですよ。罰金や営業補償は自腹ですわ」

 

「経済がうわ向いてるってのはねえ・・・どこの国の話なんだか。大企業の周りだって、乗る人は減ってるしねえ・・・あんまり景気がいいってのは、感じませんねえ」

 

「雨の日は分かりやすいですよ。景気がよければみんな無理しないけど、今はほら、近くならみんな無理するから。」

 

・・・こう書くと、私がタクシー乗りまくってたかのように見えるかもしれないが、そんなに給料は高くない。どういうわけか、たまに乗ると、大抵はいい運転手さんがいて、しこたま経済現況のレクチャーをしてもらえただけだ(念のためですが、基本は自腹ですよ。公務であっても。)。

 

「いやあ、リックくん。働いてばかりいちゃダメだぞ。たまには有給とってでも早く帰ってだな。夕方の街がどうなってるか、買い物してる人、商店街がどうなってるか、よく見て、感じなさい」

 

これは、私が職場で最もお世話になった上司、Wさんの言葉だ。そういう教育の賜物なのか、タクシーの運転手さんは、私にとって市井の声を聞くチャンスというか、世の中ズレしている霞が関でまともな感覚を保ついい機会だった(保てていたのかは、ちょっと自信ないが)。

 

そういうわけで、官僚ヤメてグラスゴーに来ても、やっぱり運ちゃんは私にとってよき社会学の先生かなと、ここでUBERを利用するたびに思う。(キャブは高いのと、あんまりそういう会話の交流は期待できない。これも感覚的な話だが。)

 

人生いろいろ

 

一番多いのは、パキスタン系だろうか。独特の中東、というか中央アジア訛りはかなりのものだが、えてしてフレンドリーで、家族を国に残してきた人が多い。

 

あるドライバーは、パキスタンに奥さんと子供を残して、出稼ぎにきていた。お子さんは3歳の男の子。毎日スカイプするが、やはり可愛くてたまらないし、寂しいよねえ、と言っていた。子供をあやすのが上手で、機嫌悪く泣いていた我が子を、運転しながら私よりも早く泣き止ませてしまった。

 

ほかに、移民2世で、ダンディー大学を出て、北海油田で働いていたが、お母さまが透析が必要になり、お子さんとの時間も取りたいからと転職したひともいた。高給だったんですよと胸を張る姿には前職へのプライドも感じた。ただ、ずっと海上で過ごしていては充分に時間も取れないからねえ、今は満足してるよ。と言っていた。

 

そういえば、私においしいインド料理のお店を教えてくれたのも、パキスタン系のドライバーだった。そのひとも移民2世だったが、ご両親はアバディーンに移民したらしい。40〜50年前くらいの話だと言っていた気がするが、当時の英国、スコットランドの貧困家庭にはセントラルヒーティングがなく、ご両親は冬の日、ガタガタしながら震えて、彼を育て上げたらしい。すごい明るい方で、最近までコンサル企業で高級取りだったが、ブレグジットに伴う株安でリストラされたらしい。でも、「再起するまでのつなぎさ」と、笑っておられた。

 

他にも、スコットランドの大学で博士課程を終えて、でもいい仕事がなく、友人から借りた車でUBERを運転している人もいた。年明けから一度パキスタンに帰る、不安はあるが息子に会えるのが嬉しい、と言っていた人もいた。今頃、お子さんに会えたかな。

 

・・・いかがでしょうか。長くて恐縮なんですが、ここまで読んでくださった方は私が話しながら感じていることを、同じく感じてもらえるでしょうか。

 

正直、私も将来には不安はいっぱいあるのだが、彼らと話していると、私の悩みなどまだまだ駆け出し、小僧もいいところだなと、思う。

 

最後に、直近でお話したドライバーさんは、イランからの移民だった。中華スーパーマーケットに行った道すがらだったということもあるが、「ニイハオ!」と元気よく隣国の民と間違えられたことをきっかけに、色々会話が盛り上がった。そして・・。

 

「この話って・・・お客さんにするの初めてなんですけどね。もう20年になりますかね。私は、石油会社のメンバーとしてここに来たんですが、そのまま残っちゃったんです」

 

つまり、亡命した、ということだ。

今は奥さまと平和に暮らしていること、国に残したご家族とはその後会えていえないことなども話してくれた。

 

「う・うーむ・・・。なんというか・・・。毎度のことだけど・・・。」(by私)

 

「ま・毎度のことだけど・・・。身につまされますなあ・・・。」(by妻)

 

どうもUBERに乗ると、乗り終えたあと、しばらく我が夫婦は打ちのめされ、しばし反省会となる。ほぼ、毎回だ。汗

 

 

さきほど述べた役人時代、日本のタクシーの運転手さんたちは、降車の際、決まって「頑張ってね!」と言ってくれた。

 

そしていま、UBERの運ちゃんたちも、示し合わせたように同じ言葉をかけてくれる。

「Good Lack for your study, Rick!」(勉強、頑張るんだぞ!)

 

 

頑張らないといけないよなあ。

・・・いつも、そう思うんです。少なくとも、タクシー降りたときは、ね。

 

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Photo by Rick (All Copy Rights Reserved): Amsterdam in fog